「無印良品」をプライベートブランドとして、日本だけでなくアジアでも大活躍の良品計画。
今期の決算(2018年2月期)では、
売上高3,788億円で前期比+13.9%
営業利益452億円で前期比18.3%
と、とても高い成長率を達成しています。
好調に見える良品計画ですが、死角はないのでしょうか。この記事では、競合のニトリと比較しながら良品計画の財務分析を行っていきます。
良品計画の財務基盤はニトリと何が違う?
では、まずは良品計画とニトリの財務基盤を比べてみましょう。
規模の違いこそあれど、財務基盤の形がほとんど一緒ですね。
良品計画、ニトリのどちらも製造小売業というビジネスモデルを取っているので、財務基盤の形が似てくるのは必然的です。
そしてどちらも総資産額に対する純資産の割合が高く、自己資本比率(純資産÷総資産)は良品計画が73%、ニトリが80%と、超優良企業です。
では、どこに違いがあるでしょう。
流動資産の大きさに違いがあります。良品計画の方が流動資産の割合が大きくなっていますね。
ということで、流動資産に注目して議論を進めましょう。
良品計画の流動資産の中身は?
流動資産の内訳を見てみましょう。下の図です。
良品計画の流動資産の割合が多い原因がわかりますね。
商品の多さです。
ニトリの「商品」が流動資産のうち28%を占めるのに対して、良品計画は50%です。
これが何を表しているかと言いますと、つまるところ売れ残りが多いのです。
商品がどれだけ効率的に売れているかを表す商品回転率(売上高÷平均在庫)は、
良品計画が4.5回転
ニトリが11.5回転です。
(※分母に期末商品高を使用)
2.5倍ほどの差がありますね。
簡単に言うと、良品計画の商品が1個売れているうちにニトリの商品が2.5個以上売れているということです。
在庫回転日数で考えると良品計画は81日になります。店内の商品が81日ですべて入れ替わるということです。
ニトリは31日です。
(ニトリが異常にすごいです。笑)
良品計画の商品はどれが売れてるの?
ちなみに、良品計画の商品別の売上比率を見てみると以下のようになります。
一番多いのが生活雑貨ですね。生活雑貨はニトリと同じように家具などを売っているセグメントです。
次に多いのが衣服・雑貨です。
一般的に、衣服は商品回転率を高めなくてはいけません。
季節によって売れる商品が変わりますし、流行の流れも速いからです。
そう考えると、良品計画は売上の3分の2ほどを衣服で占めているので、商品回転率の改善は必須かと思われます。
売れ残りのリスクとは?
ここまで読んで「売れ残りの何が悪いの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
確かに、消費者からすれば商品がたくさん売れ残っていた方が選べる商品が増えるのでプラスに思えるかもしれません。
しかし、経営の観点からすると必ずしもプラスになるとは限らないのです。
ということで、良品計画の悩みである売れ残りのリスクについて考えましょう。
- 商品の価値が下がることで、安く売るか廃棄するかの選択に迫られる
商品がずっと残っていると、流行の流れに置いていかれるだけでなく、品質も悪化する可能性があります。
この場合、商品を安く売るか廃棄することになりますが、どちらにせよ当初見込んだ利益を得られない上に、その商品を仕入れるまでにかかった費用も回収することができなくなります。
- キャッシュフローが悪くなる
「商品」は貸借対照表の「資産の部」にあります。つまり、その「商品」は企業の資金が「商品」として形を変えたものです。
本来なら、これを売ることで「商品」が「売上」に代わり現金回収できるわけなのですが、「商品」が売れなければその「商品」は「現金化」することがありません。
その分キャッシュフローが悪くなるということです。
良品計画の財務分析/まとめ
以上の議論をまとめると、
良品計画はニトリに比べて商品回転率が悪い
ということになります。
ただ、そうはいっても良品計画は中国への進出をうまく進めており、時価総額も1兆円を突破しそうな勢いなのでとても期待を持てる企業です。
ケチをつけたのは良品計画への期待ということで…笑
P.S.
以上で良品計画の分析は終わりです。
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参考サイト・資料