100円の串が120円になる?!!全面禁煙化によって串カツ田中は何を目指しているのか?

企業分析

 

 

今日の議題は以下の通りです!

串カツ田中は、全面禁煙化後どのような戦略をとるのだろうか?

全席禁煙後の業績の推移を見てみよう

まずは、全席禁煙後の業績がどのように変化しているかを見てみましょう。

下の図を見てください。

上のグラフは前年同月比を表したものになります。

6月1日から全席禁煙になったのですが、それ以降の数字を見てみると客数は減っているどころか増えていますね。

それに伴って売上高も伸びています。

その反対に、客単価は減少傾向にあります。

なぜ、このように一般的な考えとは逆の結果になっているのでしょうか。

客層の変化/サラリーマンから家族連れへ

直近の決算資料(2018年11月期第二四半期)によると、

  • 家族連れ→+6%
  • 一般男女グループ(~20代)→+1%
  • 女性・カップル→+1%
  • 会社員・男性グループ→-6%
  • 一般男女グループ(30代~)→-1%

という結果になっています。

つまり、客層がサラリーマンから家族連れにシフトチェンジしているのです。

サラリーマンが減ることは予想がつきやすいですが、家族連れがこうもきれいに増加するとは、なにか串カツ田中ならではの戦略があるのでしょう。(後で明らかにします。)

では、なぜ客単価が減少傾向にあるのかを考えましょう。

お通しなしソフトドリンクが客単価を下げる

題ですべてを察してしまったかもしれません。笑

家族連れの増加によって未成年の顧客が増えたことにより、お通しのつかないソフトドリンクの需要が増えたのです。

居酒屋がどれだけお通しでもうけを出しているかがわかりますね。

全面禁煙化による業績への影響

以上のことより、全面禁煙化によって業績が受けた影響としては以下のことが言えます。

客単価は減少したが、家族連れの増加による客層の変化がうまくいって売上高は増加傾向にある

次は、これを踏まえて串カツ田中の全面禁煙化後の経営戦略について考えていきましょう。

 

全面禁煙後の串カツ田中が取る経営戦略とは

全面禁煙化による影響を踏まえると、今後以下のような経営戦略が考えられます。

●住宅街への店舗拡大
●商品の値上げ

の2つです。それぞれに分けて考えていきましょう。

目指すは1000店舗!止まらない店舗拡大

串カツ田中は、長期目標として以下を掲げています。

全国1,000店舗体制構築を目指し、
『串カツ⽥中』の串カツを、⽇本を代表する⾷⽂化に

全国1000店舗に加えて、「日本を代表する食文化」と言っています。海外も視野に入れているのですね。

現在の店舗数の推移を見てみましょう。

2018年の8月の店舗数は、直営店91店舗、FC店117店舗の計208店舗です。

平均して1ヵ月に4店舗ほど出店していることになります。

つまり、このままのペースで出店し続ければ、残りの792店舗を達成するのは198ヶ月後、16年後ということになります。2034年です。気が遠くなりますね。笑

では、展開の仕方としてどのような店舗展開が考えられるでしょうか。

現在の出店地域として、すでに世田谷区などの住宅街に縄を張っています。だからこそ家族連れの客層へうまくシフトチェンジできたわけですが、この流れは加速するでしょう。

さらに、百貨店やスーパーでのソースの販売にも取り掛かっているようなので、これによって知名度を上げることで地方の住宅街への進出も新たな市場として開拓していくでしょう。

住宅街は、競合があまりいないうえに土地代が安く済みます。1000店舗を達成するのは16年後よりももっと早いでしょうね。

値上げの可能性が高い?!

次は、もう一つの考え得る戦略、「商品の値上げ」です。

現在は串一本100円で売るなど、ずいぶんと価格破壊な串カツ田中。まさかの値上げの可能性があるのです。

これはどこに根拠があるかと言いますと、まず一つは客単価の減少です。

客層がサラリーマンから家族連れに変化したことで減少した客単価は、どうにか戻したいのが本音ですよね。

100円の串カツが120円に?

もう一つの根拠が、原価率の高さです。下の図を見てください。

串カツ田中と同じ専門店型チェーンの「鳥貴族」と費用構造を比較してみましょう。

串カツ田中の売上原価は39%ですね。一方、鳥貴族の売上原価は32%です。

この7%の差、金額にしてどれくらいあると思いますか。

仮に串カツ田中が今の仕入額のまま商品の値段を上げて売上原価を鳥貴族と同じ32%にまで下げるとしましょう。

今期の売上高が55億3000万円、その39%の21億5600万円が売上原価なので、21億5600万円÷32%で、

66億9,375万円の売上高になります。20%の成長が見込めるわけですね。

「売上原価を32%にすることがあるだろうか」という疑問に関しては、十分にあり得ると言えます。飲食店の売上原価は30%ほどが理想と言われているので、現状の串カツ田中の売上原価はそこからすると高すぎるからです。

ちなみに、売上原価が32%だった場合、100円の串カツは120円になります。十分あり得そうな話ですよね。

まとめ

以上の議論をまとめると、串カツ田中が全面禁煙化後に取り得る戦略として、

  • 住宅街への店舗拡大を進めて1000店舗突破
  • 下がった客単価を商品の値上げによって元に戻す

ことが考えられます。

ワタミや大庄などの総合居酒屋の地位を次々と奪って成長してきた串カツ田中。次はどのようにして事業を展開していくのか。

今後の展開がとても楽しみです。

P.S.

以上で串カツ田中の分析を終わります。

ツイッターでも日々企業の分析をしているのでぜひフォローしてください。

参考サイト・資料

串カツ田中有価証券報告書

タイトルとURLをコピーしました