イオンって、小売業だから仕入に費用がかさんで収益性が悪そうだなぁ。
実は、イオンのビジネスモデルは小売業のそれとは少し違うんだ。イオンは自分の「規模」を十分に活かしたビジネスモデルを展開しているんだよ。
今日は、イオンのビジネスモデルいついて説明していこう。
イオンのビジネスモデルとは?売上・利益を見てみる
まずは、イオンの有価証券報告書を見てみましょう。
イオンの売上高は?
今期(2018年2月期)の売上高に当たる営業収益は、8兆3,900億円です。小売業界では断トツの売上高を誇ります。
ちなみに、小売業界売上高第2位のセブン&アイHDは6兆370億円なので、2兆円もの差があります。この2兆円の差はそうそう埋まることはないでしょう。
では、イオンの売上高の内訳を見てみましょう。
3分の2程度をGMS(総合スーパー)とSM(スーパーマーケット)が占めていますね。
これはイメージ通りかと思います。イオンは小売業で3分の2ほどの売上を出しているということですね。
では、次は営業利益を見てみましょう。
イオンの営業利益は?
イオンの2018年2月期の営業利益は2,102億です。営業利益率にすると全体で2%ほどしかありません。
やはり小売業の利益率の低さが全体の利益率に影響してしまっているのでしょう。
セグメント別に営業利益を見てみましょう。
先ほどとは、全く形が変わりましたね。
総合金融とディベロッパーが3分の2ほどを占めています。では、利益率はそれぞれどのようになっているのでしょう。
イオンの利益率は?
総合金融とディベロッパーが群を抜いて高いですね。
それに対して、売上高で3分の2を占めていたGMSとSMは0.3%、0.9%と、まさかの1%を切ってしまっています。
切り捨ててしまえば利益率0%です。
イオンが安さを売りにしているということもあるのでここまで低くはならないのですが、この利益率の低さは小売業すべてに共通します。
ではなぜイオンはこんなに低い小売業を切り捨てることはしないのでしょう。そこに、イオンの、さらには小売業のビジネスモデルの秘訣があるのです。
イオンのビジネスモデルとは?
下の図は、イオンのビジネスモデルを図式化したものです。
「小売」「金融」「不動産」に分けて説明していきます。
小売
イオングループの小売業は、細かく分けると以下になります。
- イオンリテール
- マックスバリュ
- ダイエー
- マルエツ
- ミニストップ
- まいばすけっと
- ウェルシア
こんなにたくさんの小売店を抱えているのです。しかもどの小売業も安さを売りにしています。
なぜその安さが可能になるかと言いますと、グループの規模を活かして一度に大量に仕入れる「規模の経済」が働くからです。
金融
小売業でお客さんを集客したら、次はそのお客さんを「金融事業」に連れ込みます。
具体的にどうやって連れ込むかと言いますと、
イオン銀行で住宅ローンを組めばイオンのお買い物は最大50%オフなどのグループ間のシナジーを使うのです。
このビジネスモデルは成功して、現在では預金額約3兆490億円と、地方銀行と同じくらいの規模になっています。
不動産
もう一つのシナジーが、不動産です。
イオンの行っている不動産業務は、不動産の中でも特に「ディベロッパー」です。
商業施設を「イオンモール」として作り、そこへの出店料で儲けを出すビジネスモデルです。
このイオンモールに、イオンの小売も出店します。ディベロッパーで儲かる上に、顧客も集客できるわけです。
イオンのビジネスモデルはなぜ「小売のお手本」なのか?
要するに、イオンのビジネスモデルは
利益率の低い「小売」で集客して、利益率の高い「不動産」「金融」で稼ぐ
モデルであると言うことができます。
小売業では、今や安い商品が幅を利かしています。小売業はもう「価格」で勝負することはできません。
そんな中、利益率の低いところから高い事業へと送客していく流れを確立しているイオンは、これからの小売業の「お手本」であるといえるのではないでしょうか。
P.S.
以上でイオンのビジネスモデルは終わりです。
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