MROとは、Maintenance Repair and Operationsの略で企業が日常的に購入・調達する備品や消耗品(文具、オフィス備品、設備や機器の修理用部材など)のことを指します。
この記事では、MRO市場がどれほどの市場規模で、今後どのような成長をしていくのかを分析していきます。
MROとは何か?
MROは、冒頭で書いたように企業が日常的に購入する備品や消耗品のことを指しますが、具体的には以下のものを指します。
- 産業機器…測定計測、メカトロニクス、工作機工具、電動機械
- 工業機器…切削工具、穴あけ・ネジきり工具、はしご・脚立
- 住設用品…清掃用品、文具用品、オフィス雑貨、電化製品、OA事務用機器、事務用家具
- 消耗品…ペーパー類、文房具、軍手など
これでもMROのうちのほんの一部です。「企業が日常的に扱う備品や消耗品」ということで、扱う商品数がとても多いのがMRO市場になります。
MROのビジネスモデルとその特徴は?
基本的なビジネスモデルとしては、メーカーから商品を仕入れ、それを必要とする企業へ販売をするBtoBの業界になります。
特徴としては、
- 扱う商品が多いので仕入先がとても多くなること
- にーずが多様なのでニッチな商品も扱うロングテールが強みを持つこと
- 大量購買によって仕入原価が安くなる「規模の経済」が働くこと
- 以上の理由に加えて、BtoBゆえの独自なネットワークがありに新規参入が難しいこと
などがあげられます。
MROのメインプレイヤーと市場規模はどれくらい?
では、実際にMRO市場のメインプレイヤーを見てみましょう。また、そこからMRO市場の現状を考えていきましょう。
下の図は、MRO企業の売上高を高い順に並べたものです。
業界トップの山善は、売上高4979億円と、あと少しで5000億円に突破しそうな勢いです。
それに次ぐのはユアサ商事の4617億円です。
ちなみに、山善、ユアサ商事、トラスコ中山は、「対面販売を基本とした専門商社」で、
一方のアスクル、ミスミグループ本社、モノタロウは「ネットで商品を販売する専門通販」です。
これを考えてグラフを見てみると、MRO市場は未だに対面販売を基本とした専門商社が市場を握っていると言うことができます。
IT化が進む現代において、MRO業界でもEC化が進むことは必須でしょう。
大手は必要な備品や消耗品を専門商社から一括で購入しています。EC化が進むためにはそのネットワークを新たなものにしなくてはいけません。
一方で、法人の90%以上を占める中小企業は、一括購入するほどの預金を持ち合わせていないので、備品や消耗品を買うのは不足したものを補充するときです。
EC化を本格的に進めるのであれば、異なる需要を持つ大手と中小のどちらも満足のできるサービスになる必要があります。
Amazonの新規参入の動き
近年では、Amazonが「AMAZON BUSINESS」として法人向けのサービスを始めました。
AMAZONは今まで積み重ねてきたECのノウハウがあります。AMAZONの強みである消費者向けのノウハウを、どのように法人向けに活かすかは見ものです。
MROの寡占率はどのくらい?
では、これらの企業は市場規模のうちどれだけのシェア率を誇っているのでしょうか。
モノタロウの決算説明会資料によると、MROの市場規模は5兆円から10兆円です。幅が広いのでどちらの場合でも考えてみましょう。下の図を見てください。
市場規模が5兆円の場合には、上位6社が3分の1程度、10億円の場合にはその半分の6分の1程度となっています。
「規模の経済」が効くビジネスモデルの割には、この割合はとても小さいです。
例えば、コンビニは10兆円以上もある市場の80%以上を上位3社が占めていますし、GMSや家電量販店も上位7社ほどで市場の80%を占めています。
商品をメーカーから仕入れ販売するビジネスモルでは、販売規模が大きいほどメーカーに対する交渉力が強くなり、仕入原価などにおいて有利な条件で取引ができるのです。
これを考えてみると、MRO業界ではまだまだ業界再編と寡占化は進むと考えられます。
MRO業界の特徴まとめ
以上の議論を下の表にまとめました。
MRO業界のこれからは、
- 「規模の経済」を目指した業界内の再編成と寡占化
- 顕在化しつつある大手のECニーズに合わせたECへの流れ
が進むことになるでしょう。
P.S.
以上でMROの業界分析は終わります。
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