小田急電鉄にはどのようなイメージがありますか?
小田急線は他の路線と比べると、ださい、というのが僕のイメージです。なんか、小田急沿線の駅ってどこも栄えていても栄えきれない場所に見えていしまうんです。僕は小田急線沿いに住んでいますが。笑
鉄道業界は、鉄道を運営するだけではありません。自分の敷く鉄道の周りを積極的に活用することにも力を入れます。
東京オリンピックで都内の鉄道利用者が急激に増えるであろうこの時期、都会から少し外れた「ださい」場所に鉄道を持つ小田急は、どのような戦略を以て経営をしているのでしょうか。結構気になりますよね。
ということで、小田急電鉄の経営について分析していきましょう。
小田急電鉄って何をしているの??
まずは、小田急電鉄は何をしているのでしょう。電車だけではありませんよね。小田急線の駅構内にはOdakyuOXという百貨店とかもよく見ますし、いろいろなところで小田急という名前は見かけます。
実は、小田急は「運輸業」「流通業」「不動産業」「その他」の4つのセグメントを持っているのです。
それぞれの事業では、以下のことをやっています。
- 運輸業…鉄道、自動車(タクシー)、航路など
- 流通業…OdakyuOX(百貨店)など
- 不動産業…不動産の分譲や賃貸など
- その他…ホテル、レストラン、ゴルフ場など
沿線の積極的活用
不動産などをやっていたのは驚きですね。鉄道業界全般に言えることですが、百貨店を作って駅構内を積極的に活用したり、鉄道沿線の周りに不動産を持つことによって鉄道利用者を増やそうとしたりすることも、大事な戦略のひとつになります。
鉄道業界のビジネスモデルを図解したものはこちらになります。
小田急電鉄の経営は利益率が異常に低い?!
では、売上高の推移を見てみましょう。下の図を見てください。
売上高に変化はないものの、経常利益率は2012年から着々と伸びていますね。今では直近の経常利益率は9%にまであがっています。
しかし、少し考えてみてください。
鉄道を運営するのに、どこに費用が掛かってそうですか?
鉄道の整備費、電気代、運転手や駅員の給料、などいろいろ思いつくと思います。
が、基本的に鉄道業界は、初期費用を投資してしまえば、あとは費用がほぼ掛からないビジネスモデルなんです。
例えば、JR東海は、経常利益率が32%もあります。これと比べてみると、小田急電鉄の経常利益率は異常に低いことがわかると思います。
小田急電鉄がなぜこんなに経常利益率が低いのか、実はセグメントごとの収益を見ればわかってしまいます。
ということで、見ていきましょう。
小田急電鉄のセグメント別収益はどうなっているの?
下のグラフは、小田急電鉄の事業ごと(セグメント)の収益に占める割合です。
図を見てみると、運輸業が31%なのに対して、流通業(百貨店)は38%ですね。つまり、鉄道から得る収益より、流通業から得る収益の方が大きいのです。
では、流通業の利益率を見てみましょう。
流通業の利益率は?
下の図は流通業における収益と利益を表したものです。見てください。
営業収益が2144憶7900万円なのに対して、利益は4647万円となっています。営業利益率はなんと2.1%です。
とても小さいですね。
反対に、運輸業の利益率を見てみましょう。
運輸業の利益率は?
こちらを見てみると、先ほどより利益として残っているものは断然多いですね。281憶2200万円です。そして利益率は16%でした。
鉄道業界の中ではこの数字はとても小さいですが、先ほどの流通業よりは大きいですね。
小田急電鉄の経常利益率が異常に低い理由
以上のことで、小田急電鉄の経常利益率が低い原因が分かったと思います。
「ただでさえ運輸業の利益率が低いのに、もっと利益率が低い百貨店の方が売上を出している」からでした。
まとめ
題名の、「小田急電鉄は鉄道会社というより百貨店」の意味は分かったでしょうか。
つまり、小田急電鉄は売上高において百貨店の方が運輸業より稼いでいるということです。
しかし、その百貨店は利益率が異常に低いので、
これからの課題としては、百貨店の利益率を上げる、もしくは運輸業の営業収益、さらには利益率を上げる、ことが挙げられます。
まがいなりにも鉄道会社なので、鉄道の利用者を増やせば二次的にほかの事業の利用者も増えるでしょう。
東京オリンピックに向けて、どうにか運輸業を盛り上げてほしいですね。小田急沿線に住むものとしても。
以上で小田急電鉄の経営の分析を終わります。
また次の投稿も楽しみにしていてください。